【教えて】息子に事業を相続させるために特に準備は必要になりますか

Q.40代半ばに独立して会社を設立しました。幸い大きな事業ではありませんが安定して利益を出せるまでになりました。60歳になった時に息子に事業を譲ろうと考えています。そこで50代後半の今から何か準備が必要であれば少しづつ行っていこうと思います。特に無ければそれで良いのですが、譲るときになって色々と問題が出てくるのは困るので、どのようなことが必要になってくるのかを教えていただきたいのです。よろしくお願いします。

A.いよいよ代替わりですか、なかなか代替わりできるまで継続することは難しいので大変おめでたいことです。現在息子さんは社内におられるのでしょうか。それともまだ社外でしょうか。もし社外と言うことであれば、いくら傍にあなたが付いていると言っても代表としては心もとないので、いきなり事業を譲るのではなく、先ずはあなたが代表を勤めているうちにそばにおいて事業を勉強してもらうことから始めてください。あとは成長を見極めて譲る時期を決めるようにしましょう。

事業を譲る場合の最も重要なのが税金です。事業だけなら運転資金さえ十分残っていればよいのですが、もし持ち株も事業継承と同時に贈与することになると話は難しくなります。つまり持ち株には価値が有りますので、あなたの生前にその株を息子さんに譲れば贈与税が発生します。あなたがもし亡くなったことによる相続と言うことであれば、相続税の対象になります。いずれにしても持ち株の評価額が税金の金額を大きく左右することになるわけです。

そこで取り合えず今現在の評価額を算出してみましょう。自分ではたぶん分かりませんから、税理士などにお願いして客観的な評価をしてもらわなければなりません。評価額を算出したら贈与税額も算出してもらいましょう。評価額は同業他社などと比較して妥当な額を算出しますが、事業が安定して利益を上げているのであれば意外に評価額が高くなっているかもしれません。そうなってくると贈与税も相当額が必要になってくることも考えられます。

もし持ち株をあなたの死後に相続させるのであれば、贈与税よりも税率は低いですから、額は減るかもしれませんが、やはり評価額次第では大きな負担を強いられる可能性が有ります。また相続する場合には、他の相続人もいる筈ですので、持ち株を息子さんに相続させるということになると他の相続人との調整もしておく必要が有ります。いずれにしても持ち株を相続させるために他の資産を売らなければならないような事にならない様に準備しておかなければなりません。

この他小規模の会社の場合、経営者の個人資産と会社の資産の区切りが良く分からなくなっている場合が多いので、それも分かるようにしておくことが必要です。生前に贈与するのであればその時点であなたが判断できますから良いのですが、相続と言うことになるとだれも分からなくなってしまって困った事態にならないとも限りません。いまから準備しておけば十分間に合いますから、会社の資産には誰が見てもわかるように資産シールを貼っておきましょう。

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